はしかについての用語説明
- 麻しんの排除
- 麻しんの排除についてWHOは次のように定義しています。
- 輸入例を除き、麻疹確定例が1年間に人口100万人当たり1例未満である。
- 全ての症例報告や調査報告を網羅した質の高いサーベイランスの実施されている。
- 少なくとも80%の地域において、1年間に10万人当たり最低1例以上の麻しんの疑い例*の報告があること。
- 麻しんが疑われた症例の少なくとも80%において、血清における麻疹IgM抗体の確認がなされていること。
- 感染の連鎖が確認されている全ての症例において、ウイルスが分離同定されていること。
- 全ての地域において、全ての定期接種対象群が95% 以上の免疫を保有している。
- 2回の麻疹含有ワクチンの接種率が、それぞれ少なくとも95%以上であること。
- 輸入例に続く集団発生が小規模であること(100例未満、3か月以内に終息) 。
- 終生免疫
- はしかに一旦かかると二度とかからない程の強い免疫が出来ます。これを終生免疫と言います。
- MRワクチン
- 日本において平成18年度から定期接種に使われ始めたはしかと風しんの混合ワクチン
- MMRVワクチン
- 近年米国などで使われ出した、MMRワクチンにさらに水ぼうそうのワクチンを混合したもの。1回の接種で4つもの病気の免疫をつけることが出来るとは何ともうらやましい限りです。
- 二回接種
- PVFやSVF、さらにはワクチンを受けそびれてしまった人を救済する目的で、はしか、風しん、水ぼうそう、おたふくかぜなどの予防接種は二回受ける制度が世界的には標準です。
- 全数把握
- ある病気の発生動向を調べるにあたり、すべての発生を報告して実数を 把握すること。
発生数が多い病気では現実的ではないが、発生数が少ない病気ではこのようにしなければ正確な発生動向がつかめません。
はしかは近年発生数が減少してきており、今後の排除までを視野にいれ、平成20年からは
これまでの定点サーベイランスに加えて全数把握疾患となりました。
- 定点サーベイランス
- あらかじめ指定した医療機関から定められた病気の患者数などを毎週報告してもらい、その数を元に全体の流行状況を把握する方法。流行の規模が小さくなるとその実態が把握が困難になるため2008年(平成20年)1月からはしかと風しんは従来の定点サーベイランスから全数把握に変わりました。
- キャッチアップキャンペーン
- ワクチンではしかの排除を目指す場合、最終的に人口の大部分が免疫を持っている状態にしなければ、ダラダラと小流行が続いてしまいます。 そのために比較的短い期間に、ある特定の集団(通常は年齢で限定)の全員に対して一斉にワクチン接種をする方法がとられます。
これをキャッチアップキャンペーンと言います。
- PVF
- Primary Vaccine Failureの略。予防接種を受けてもうまく免疫がつかないことが数%ある事。(はしかワクチンで約5%と言われています)
- SVF
- Secondary Vaccine Failureの略。予防接種を受けて一旦ついた免疫が長い年月の間にしだいに弱くなり、病気を防げなくなってしまうこと。
- ブースター効果
- 予防接種や実際に病気にかかったりしてできた免疫は、時間が経つにつれて(特に予防接種の場合は)
だんだん弱くなってしまいます。免疫が 弱くなった状態の時にふたたび予防接種を受けたり、病気の人と接触し たりすると、弱まっていた免疫が強くなります。
これを免疫のブース ター効果と言います。